目次
みなさんはBST(ビースト)というラッパーをご存知でしょうか?主にYouTubeを中心に楽曲制作、リアクション動画、Vlogなどを更新し活動しています。HIPHOPが好きな人であればリアクッション動画でだれしも一度は見かけたことがある顔なのではないでしょうか。
そんなBSTを調べてみたら、HIPHOPを、ラップそのものを狂愛している、変態ラッパーの素顔がそこにはありました。
今回はそんなBSTについて、解説していきます!
BSTのプロフィール
ラッパー/トラックメイカー。トラック制作からMIX作業、レコーディングの全てを一人で行っています。
2020年の時点で26歳と言っていたので2024年現在では30〜31歳かと思われます。最寄りのコンビニはセイコーマート、23frsとは大学時代サイファーをしていたほど仲がいいと語っていたので居住地は埼玉県かと思われます。現在はYouTubeを中心に活動しており、楽曲に関しても各種ストリーミングサービスで聴くことができます。
建築業(解体)に携わっていましたが、26歳で退職。芸人の奥様もいらっしゃり、大学卒業と共に同棲開始し結婚されたそうです。
好きな音楽の変遷
HIPHOPの解説動画をたくさん出しているので生まれも育ちもHIPHOPかと思いきや、そうでもありませんでした。まずきっかけは、マキシマム ザ ホルモン。ダイスケはんのラップ部分に魅了され、そこからヘヴィメタルのSlipknotを聴くようになります。Slipknotといえば、たしかに「Spit It Out」などのようにヘヴィメタルでありながらもラップの要素も取り入れていたりしていますよね。そこから関連動画でEminemにたどり着き、50centやLil WayneなどのUSに傾倒していきました。ここから日本語ラップへたどり着くかと思いきや、ニコニコ動画で起こったムーブメント「ニコラップ」を経由して日本語ラップへたどり着いたと語っておりました。
あくまで、HIPHOPが好きというよりはラップが好きだと仰ってます。
楽曲について
BSTさんの曲は、リリックから思想や哲学を感じます。大人の為のHIPHOPというのが相応しい、唯一無二の感性ですよね。
また、BSTさんの楽曲の中で繰り返し使われるのが、「青」や「蒼」というワード。それは、概念として使っていたり本当に青色として使われていたりしています。これは、例えるならZORNが楽曲の中で繰り返し使う「公園」みたいなニュアンスみたいなものだと私は勝手に解釈しています。
そして、これは僕の勝手なイメージです。真意は分かりませんが、BSTさんの描くリリックは思考の海の中をぐっと潜って潜水していくような、論理的なリリックだと思うので「青」というイメージは正直ピッタリだと思います。
特に僕が一番好きな曲は「考える考える考える」です。
HSPであるとニート東京で語っている動画を拝見したことがありますが、その背景を知ってから聴くとより深みが増します。
”溺れそうなのに君のことを考える
これは優しさの実証になるかもと考える
そんな利己的な自己は自尊心の塊で嫌になる”
ここのリリックが僕は好きですね。僕もきっと、もし仮に自分が溺れそうなときでも嫁や娘のことを考えるだろうし、同時に自分のことを優しい人間だなぁという一種の自己陶酔にも似た感情が必ず頭の片隅にはあることでしょう。
でも、そんな自分を嫌になるというBSTさんの思考こそ真の優しさなんだと私は思います。
仕方なく観るシリーズ
現在最も多くの動画が更新されているのはこの通称「仕方なく観るシリーズ」こと、リアクション動画です。スタンスはあくまで友達がどうしても観てくれ!とPUSH!PUSH!してくるので仕方なく視聴し、リアクションしつつ解説するという内容なのですが、解釈の幅がえげつないです。読解力、語彙力、言語化に優れており、私も音楽をこよなく愛する身としていろんなジャンルの音楽の解説動画やブログを見てきましたが、ここまでのレベルで発信している人を見たことがありませんでした。素直に尊敬、いや嫉妬すらします。
オールドスクールから若手の最新曲までキャッチするアンテナの高さは、BSTがこれまでの人生で培ってきたHIPHOP IQの高さが伺えます。
なのでここでは、BSTの変態度を皆さんにも確認してほしいので私お気に入りのシーンを動画から抜粋して紹介させてもらいます!
Suicide Tiji jojo,HIDEYOSHI,Jin Dogg
…
こんなんもうほぼセッ〇スだろ…。
とはいえ、このあとの解説、
”jojoさんの声は純粋な透明感ではないんだけど、少し濁った水面に光が指すようなちょっとの明るさがあるんだよな”
っていうコメントはほんとに的確だと思います。Tiji jojoさんは綺麗な歌声とは裏腹にきついリリック書くこともありますからね。
そして、これは私自身めちゃくちゃ食らってしまったコメントなんですが、
”めちゃくちゃHIPHOPの大好きなところ言っちゃっていいですか?
個人のワードチョイス、生き様、スタイルそれぞれ差があるでしょ?それだからこそ自分の心に一番フィットするラッパーをみんなは選ぶじゃん、リスナーは。その歌詞は勝手な思い込みだけどさ、似たような境遇、似たような感性、似たような痛みを背負ったやつをさ、レペゼンして歌を歌うようなそんな感覚じゃん。それがみんなでfeat.するときにみんなの背負ってる痛みとかが混ざり合ってめちゃくちゃ化学反応起こすんですよ!こういう曲みたいに!”
HIPHOPを愛してるからこその発言ですよ。なんとなく同じようなことを思ってはいたけど、ここまではっきり説明されたのは初めてです。すごく腑に落ちましたね。ぐうの音も出ないコメントです。
関連記事 BAD HOPについてはこちらでまとめてます!
禁断の惑星
”誤作動により放射能汚染 オーバードーズした6ヶ所”
これ、僕もそう思ってました。6ヶ所って何だよって。誤作動により放射能汚染、オーバードーズした6ヶ所だろ…未知の生命体に侵食されたのか、はたまたメルトダウン的なことなのか、はたまたロボトミーのように脳をいじくることのメタファーで、脳みその重篤な欠陥の6ヶ所なのか…?とずっと考えさせられるフレーズを、こうして発信してくれたのが嬉しいです。俺だけじゃ無かったんだって安心しました。
そりゃこんなコメントもでますよ。それにしても毘沙門天と上杉謙信が結びついてる当たり、なかなか学がありますよね。
”理解されるまで何回Sun Rise”
この10:25〜の解説。この言い回しは天才的だと確かに僕もずっと気になってました。よくぞ言ってくれた!ありがとうございます!
犬のおまわりさんfeat.村上乃々佳
と、前半はとにかく女の子の可愛さを褒めちぎります。さすがにこういうネタ動画なのか…?と勘ぐりながら視聴すること6分半、動画は急展開します。
迷子の迷子の子猫ちゃん あなたのおうちはどこですか♪
たぶんね、迷子の子猫ちゃんっていうのはこの世の中に混迷する迷える子羊たち、私達のことだと思うんだよね、そして「あなたのおうちはどこですか」この家っていうのはもっと漠然とした概念だと思うんだよ、貴方の社会に対する帰属意識みたいなものです!貴方のアイデンティティはなんですか?みたいなことを問いかけてる歌だと思うんだよ。つまりHIPHOPでいうなら「テメーのレペゼンどこ?」みたいなことです!
犬のお巡りさん 困ってしまってワンワンワワーン ワンワンワワーン♪
もしかしてだけどね、この犬のお巡りさんというのは国家権力みたいなものを表してると思うんだよね、だからこの犬のおまわりさん達も均しく言論を統制されていてですね、国家という殻の中で生きているだけなんだと。だから子猫ちゃんの言葉を理解してあげたいのにお巡りさんという殻の中で生きているお巡りさんたちはワンワンワンと言語の通じないように獣のように叫ぶしかないと言っているんじゃないかと思うんですよね。この狭い殻の中で犬と猫という役割を演じることでしかアイデンティティを確立できないというこの混迷した社会を嘆いているのではないかと思うんですよ…
違うだろ!いい加減にしろ!
ネタであっても、童謡からここまで話を広げてイマジネーションできるのって相当頭がいいんだと思います。ほんとにこの人の頭の中の本棚はどうなっているのか、見てみたいです。
こんな感じて卓越したワードセンスと作品の中に入り込む力がすごいんですよね。本当にこの言葉のレパートリーには嫉妬すら覚えます。
他にも大好きな解説動画たくさんあります。「紫煙 MC漢feat.MAKI the MAGIC」の解説動画や「洗脳 Awich feat.DOGUMA,鎮座doopness」など、ほんとにリリックの解釈を広げてくれる動画を出してくれているのでほんとにタメになります!曲の世界をより楽しめるようになるので絶対に見た方がいいですよ!要チェックです!
返信転送リアクションを追加 |
コメント