Yvng Patra──孤独と怒りを音に変える、Z世代のリアル【新潟発、東京経由のダークヒーロー】

入門シリーズ

目次

日本語ラップの新たな波を牽引する存在として注目を集めるYvng Patra(ヤング・パトラ)。2002年生まれ、新潟県出身の彼は、複雑な家庭環境や地方都市での孤独な少年時代を経て、音楽を通じて自己表現の道を切り開いてきました。そのリアルなリリックと独自のサウンドは、Z世代を中心に多くのリスナーの共感を呼んでいます。 

地元・新潟での葛藤と音楽との出会い

Yvng Patraは、幼少期から家庭環境に恵まれず、孤独な時間を多く過ごしてきました。小学生の頃には、父親からの暴力を受けるなど、過酷な経験をしています。そんな中、彼は音楽に救いを見出し、ANARCHYの「Moon Child feat. KOHH」XXXTENTACIONの「Look At Me!」などに影響を受け、中学生の頃からラップを始めました。地元・新潟ではヒップホップのシーンが乏しく、駅裏でスケートボードをする仲間たちとサイファーを行うなど、限られた環境の中で自己表現を模索していました。   

地元、新潟県新発田市について

話は少し脱線しますが、新潟県は著者である私TATSUYAと同郷な為少し紹介させていただきます。

Yvng Patraの地元は、新潟県新発田市(しばたし)とされております。彼の代表曲【Hood star】では〈俺の地元はAEONしかねんだ〉と歌っていますが、そんなことはありません。確かに新発田駅付近でサイファーをしている人は見たことがありませんし、新潟県は「都道府県魅力度ランキング」では26位と低めの印象です。しかし新発田市は新潟県の中でも有数の温泉地でもある「月岡温泉」があります。温泉番付でも高い評価を受けており、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」では、月岡温泉の「白玉の湯 泉慶・華鳳」が総合1位を獲得しています。

住み慣れたYvng Patraにとってはあまり印象に残っておらず魅力を感じていないかもしれませんが、いいところですよ。

そして何より、新発田市ではありませんが同じ新潟県出身のラッパーには「漢a.k.a GAMI」さんもいます。

彼は「日本三大花火」の一つに数えられ、毎年8月2~3日にかけて行われる「長岡まつり花火大会」で有名な長岡市出身です。ぱっとしない県ではありますが、著名なラッパーがいるというのは誇らしいことですね。

新潟県、いいところですよ。当ブログをご覧の皆様もぜひ人生で一度は足を運んでみてはいかがでしょうか。

追記:Creepy NutsDJ松永さんも新潟県長岡市出身です!

上京とXgangへの加入

高校時代、音楽活動を本格化させるために上京。SoundCloudに楽曲をアップし始めたことで同世代のアーティストたちと繋がり、ヒップホップクルー・Xgang(クロスジヒトリ)に加入しました。彼の低音ボイスと緩急自在のフロウ、そして攻撃的なリリックは、SoundCloud上で話題を呼び、頭角を現すようになりました。   

音楽性と最初に聴いてほしい代表作

「Hood star」

「Hood Star」は、Yvng Patraが自身の出身地である新潟をテーマにした楽曲で、地元への誇りや家族への想いが込められています。彼はインタビューで、東京に上京した際に弟たちとほとんど話さずに出てきたことを語り、母親から「弟たちが『兄ちゃんはラップしてるんだぞ』と友達に自慢している」と聞いて嬉しかったと述べています。  

この曲では、〈兄ちゃんは今ラップしてるから心配ない〉と歌い、家族への安心感を伝えています。また、〈今じゃこの街の俺がHood Star〉というリリックからは、地元新潟での自信と誇りが感じられます。   

「DESIRE」

「DESIRE」は、Yvng Patraの3rdアルバム『RICH / RISK』に収録されている楽曲で、成功への渇望や絶え間ない欲望をテーマにしています。リリックでは、〈キリないDesire 満ちることは無い 月から金、金からまた月〉というフレーズが繰り返され、終わりのない欲望と日々の努力が描かれています。  

また、〈夢を見て動き続けるからまるで 夢遊病〉という表現からは、夢を追い続ける彼の姿勢が伝わってきます。この曲は、Yvng Patraの飽くなき向上心と、成功への強い意志を象徴する一曲となっています。 

「MONEY LOVE RESPECT」

「MONEY LOVE RESPECT」は、Tade Dustを客演に迎えた楽曲で、人生における「お金」「愛」「尊敬」という三つの価値をテーマにしています。リリックでは、〈money, love, respect 生きて成るvintage いつかは誰も彼も死んでく〉というフレーズが繰り返され、これらの価値が人生を豊かにすることが表現されています。   

Tade Dustのバースでは、〈money love respect 一つでも欠けたら持てないpower〉と歌われ、これらの要素が揃って初めて真の力が得られるというメッセージが込められています。この曲は、UKガラージ風のビートに乗せて、物質的な成功だけでなく、心のつながりや真の尊敬の重要性を伝えています。   

最新アルバム『RICH / RISK』

2025年1月には、3rdアルバム『RICH / RISK』をリリース。このアルバムは、地元・新潟から何も持たずに上京し、挑戦を続けるYvng Patraの覚悟が詰まった作品となっています。全14曲を収録し、客演には042ghxst、BLAISE、MonyHorse、S TILL I DIE、SEEDA、そしてアメリカのBandmanrillが参加。ビートはChaki Zulu、TRILL DYNASTY、Oddy lozy、Lion Melo、TAXON、asciiらが提供しています。  

ライブ活動とメディア出演

Yvng Patraは、国内最大級のヒップホップフェス「POP YOURS」に2年連続で出演し、KaneeeやKohjiyaらと共にテーマ曲「Champions」を披露しました。また、2024年2月には初のワンマンライブを渋谷WWWで開催し、チケットは即日完売となるなど、ライブパフォーマンスでも高い評価を得ています。   

おわりに

Yvng Patraの音楽は、彼自身の過酷な経験や葛藤をリアルに描き出し、同世代のリスナーたちの共感を呼んでいます。彼のこれからの活動にも注目が集まっています。

彼の音楽を通じて、Z世代のリアルな声を感じてみてはいかがでしょうか。

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