目次
GADOROとは?
バトルMC時代
GADOROとは、宮崎県高鍋町出身のラッパー/MCです。
活動当初はフリースタイルラップのバトル大会に積極的に出場し、着実にその名を全国まで轟かせました。
巧みな高速押韻と比喩表現、過激なDISというスタイルで数多くのMCと対戦。地上波で放送されていたフリースタイルダンジョン出演などを皮切りに、一気に注目が集まります。その後大きな大会でも優勝するほどの実力派MCに。戦極MC BATTLE第15章優勝、KING OF KINGS2016,2017と2連覇といった功績を残しバトルシーンを引退。
音源でもヒット連発
その後は精力的に音源、アルバムをリリースし、1stアルバム「4畳半」からの配信限定シングル「クズ」のMVは1200万回再生を超えるメガヒット曲となり、バトルMC時代を知らない層にまで楽曲が届くくらいの人気、知名度のあるラップスターとなりました。
GADOROの描くリリックからは、努力では辿り着けない境地に居る、天性のアーティストであるという印象を受けます。
また、これはバトルMC時代から明確だったことですが、各バース落とし方が抜群にうまいんですよね。だから聴いていて飽きないし、言霊がスッと胸に落ちてくる。
例えるなら、
人の心に土足で踏み込み、染み付いて消えない「泥」を残していく。
といったところでしょうか。
そんなGADOROですが、
2025年3月6日に初の武道館ライブ『四畳半から武道館』を開催することが発表されてます。チケットはすでにSOLD OUT。今後益々の活躍が期待される注目のラッパーです!
GADORO入門におすすめ!人気の楽曲紹介
「クズ」
GADOROを知る上では、まずはこの曲だけは絶対に抑えておいてください。全てはここから始まったと言っても過言ではない。題名は2文字、簡単です「クズ」。
当時のバトルで見せるバチバチな韻のイメージとはかけ離れたまさかのポエトリーでかなり面食らった覚えがあります。だがしかし、それ以上にリリックに喰らいましたね。世間的なHIP HOPのイメージでは、不良だった過去や犯罪歴などを詩にするというムーブが定石でした。対して、ハンパ者のクズにになってしまった自分の不甲斐無さ、くすぶり続けているやるせない感情がリアルに描かれた「クズ」に若い世代は共感性を見出し、当時大きな反響を呼びました。
マイナスが多すぎてゼロすらも見えねんだ
”ヨレヨレのTシャツと汚れきったコンバースで今日も街に繰り出す 行く宛もなく”
”最後に掴むものは胸ぐらじゃなくてマイク でもなくて誰かの掌”
この卓越したワードセンスと根っからの不良にもなりきれない優しい温かさこそがGADOROブレイクのトリガーとなったことは言うまでもありません。
「背中」
2ndアルバム「花水木」収録。
両親への感謝を綴ったラブソングです。
GADOROの幼少期から反抗期、そして現在の両親への感謝と反省が率直に描かれています。
働きながらもひたむきに育ててくれた母、罪を犯し捕まってしまった父の帰りを心から待ち続けた少年時代、野球が夢だったと知っていた両親が少ない貯金で買ってくれたグローブも使わずに押し入れに入れてしまった「裏切り」という複雑な感情をリリックにして描きます。
頭下げさせた分、頭が上がんねぇ
このラインが僕は好きですね〜。
「クソ親父へ」
6thアルバム「リスタート」収録。
父親との思い出、愛と感謝とリスペクトの気持ちを込めたメッセージソングです。
「背中」では語られなかった出所後のエピソードから始まり、家庭での母親とのパワーバランス、微笑ましくもお茶目な会話など、聴く人が自分と重ねて父親との思い出をも引き出させてくれるとても暖かいナンバーです。
父親から貰った言葉たちが曲の核となっているのが素敵ですよね。
作れなかったプラモデルを作ってくれたあの日も 仕事終わりクタクタでもしてくれたキャッチボール
このライン、すごくいいです。思わず父親に会いたくさせてくれますね。
「はなみずき」
7thアルバム「TAKANABE」収録。
母親との関係性、面と向かって口には出しにくいであろう感謝の気持ちを文句と皮肉多めで唄ったメッセージソングです。
思わず自分の母ちゃんみたいで笑ってしまいました。豪快で口が回る度に口喧嘩、かと思えば1日経てば何も無かったように振る舞う。
母親あるある何でしょうか?
でもきっと、愛情が深く優しい人なのでしょうね。おそらく高校生とかの時にこの曲と出会って聴いても響かなかったでしょうが、いい大人になった今聴くと曲の隅々まで心に沁みます。
よく笑う理由は よく泣いたからだろ?
ありきたりな言葉なはずなのにあのタイミングでこのライン、鳥肌が立つほどすごくいいです。
「カタツムリ」
2ndアルバム「花水木」収録。
天国のお婆ちゃんへ向けた、最強の泣けるラブソングです。
出だしの
手作りのブランコ 竹の水鉄砲 チラシの裏に描く真っ白な自由帳
既になんか共感できるんですよね。僕は夏休みおばあちゃんの家で過ごした時間を思い出します。思い返してみれば、ほんとにおばあちゃんて不老不死かと思ってましたよね。
そして僕がこの曲で一番好きなラインは、
カタツムリみたく丸まったその背中は 困難を前のめりに生きた表れだろ
GADOROは、こういう言い回しが本当に巧みですよね。僕が彼を好きな理由はこういうところです。
「チャレンジャーfeat.J-REXXX」
3rdアルバム「SUIGARA」収録。
もしも貴方が挫けそうなとき、勇気が欲しいときにオススメのナンバーです。
貴方が感じる不条理や理不尽、気にくわない出来事や憂鬱をGADORO特有の暴言にも近い棘のあるライムが蹂躙してくれます。
また、J-REXXXのfookがすごくいいんですよ。繰り返しのはずなのに全部違うTakeで収録したのかと思うほど1回のfookに魂が篭ってて自分の無力さ、不甲斐なさを吹き飛ばすほどの威力があります。途中のシャウトは圧巻です。僕達の代わりに叫んでくれてるような、そんな感覚。
この曲はパンチラインもたくさんあるんですよ。
”偽りの自分認められるくらいならありのままの自分罵られたほうがマシさ”
”俺の言葉を味方にしな お前のハンパな仲間よりは頼りになる”
”謙虚になれと従わせる その謙虚でもねぇ面が気に食わねぇ”
捻くれた自分をかっこ悪い感じているときも、突き抜けて更に捻くれさせることで無敵状態にしてくれるんですよね。
人生挑戦し続ける人、また生きる気力を失っている人も、誰しも生きてるだけで「チャレンジャー」です。
「GO ON」
2ndアルバム「花水木」収録。
この曲は人生くすぶっている人全員に聴いてほしいです。たとえどんなに小さくても、ほんの1筋ほどの光明が貴方の人生の希望として差し込んでいるならばこの曲から勇気をもらえることでしょう。どん底から這い上がったGADOROだからこそ持っている言霊がより説得力を増して貴方の心に
一輪の花や薔薇や桜 よりも綺麗な雑草を咲かせる
事でしょう。
”結果は後からじゃついてこねぇんだ”
”生きてりゃいずれぶち当たる壁 そいつは前に進んでいる証拠だぜ”
心にグサッときます。挑戦したいことがある人。今、やるしかないんですよ。心にガソリンを入れたいときは僕はこの曲を聴きますね。
「Life is go on」
3rdアルバム「SUIGARA」収録。
何事もうまくいかない。自分の怠惰、愚かさに腹が立つ。そんな日に聴いてほしい曲です。
自称”社会のゴミ”のGADOROが先陣を切って、貴方の潜在的な反骨精神を引き出してくれます。
はなからその手伸ばそうとせん奴が 手が届かないて2度と言うなよ
このラインがたまらなく好きなんです。たとえ自分の挑戦が困難だとわかっていても、まだ今は夢の途中なんだと勇気をもらえるリリックです。
「ラッパーなのに」
6thアルバム「リスタート」収録。
何もかもうまく行かないとき、泣きたくても泣けないとき、前を向いて生きたいと思ったとき。人生のいろんな場面でリリックが頭に浮かび背中を押してくれる曲です。
止まない雨はない とかではない 今降っているこの雨が耐えられない
これ、まさにそのとおりじゃないですか?
行き詰まってほんとにしんどいとき、こういう励ましに腹が立つことありますよね。この感情がずっと言語化できてなかったけど、このリリックを聴いたときはスッと腑に落ちた感覚がありました。そしてまた違う小節の中で、
嵐が過ぎるのを待つんじゃねえ 大雨の中で踊り狂え
またここでオとすという。思わずうなずいてしまいます。
不安不満でがんじがらめ でも砂掴んで立ち上がれ
素晴らしいリリックですよこれは。GADORO自身が経験してきた持論なのだと思いますが、ここまで寄り添ってくれるリリックを描けるというのは中身の濃い人生を歩んでいる証拠だと思います。
HIP HOPアーティストにとって重きをおいているのは、「リアルをリリックにすること」。「ラッパーなのに嘘をついて」というリリックは、GADORO自身の弱さを隠すことなくさらけ出した、とても正直なリリックですね。
終わりに
GADOROのように自分の弱さをリリックにして逆境を乗り越えるというのはまさにHIP HOPの考え方そのものですが、リスナーに立ち上がる勇気を与えられるというのはGADOROのワードが持つパワーなのかもしれません。
少しでもいいなと思った方、GADORO知ってたけどシングルしか聴いたことがないという人は是非アルバムを聴いてください!沁みる曲、アガる曲、たくさんあるので是非!
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